「ヤン・ウェンリー死す」----イゼルローン要塞から全宇宙に向けて発せられた訃報は、ラインハルトのもとにも届いた。愕然とするラインハルト。彼はヤンの死に、今まで彼を置いて逝ってしまった者たちを重ね、大きな喪失感を覚えずにいられなかった。ミュラー率いる帝国軍の弔問使節がイゼルローンを訪れる。ヤンへの敬意を込めた弔問を終え、ユリアンと会談したミュラーは、ヤン亡き後もイゼルローンが健在であることを実感するのであった。
ヘルマン・フォン・リューネブルク
声・・・野沢那智(スペースコブラのコブラ、アラン・ドロン、アル・パチーノ、ブルース・ウィルス、ロバート・デ・ニーロの吹き替え、など)
- 准将(後に少将に昇進。死後、大将に特進)。白兵戦技の達人。元は同盟軍大佐。第11代ローゼンリッター(薔薇の騎士)連隊長で、シェーンコップ達の上官だったが、帝国へ逆亡命する(理由は不明)。その後、ハルテンベルク伯爵の妹のエリザベートとかなり強引な形での求婚の末に結婚(当然夫婦仲は最悪で、「直視してもらえない、憎まれさえしない」ほど)。シェーンコップによると、元々「爵の字」が付くほど立派な家柄出身とのこと。
- 陸戦の指揮官としては優秀であり、白兵戦においてもシェーンコップに自分以外では倒せないと評されるほどの達人であった(帝国に逆亡命する前、シェーンコップとの試合形式の戦闘で勝利している)。人の才能を見抜く目はそれなりに持っており、ラインハルトに出世したら自分の幕僚に加えたいと誘ったり、キルヒアイスの本質を見抜いていたりした。
- ヴァンフリート4=2の地上戦でラインハルトが提案した地上戦の指揮権を横取りして栄達を狙うが、ラインハルトが同盟軍の司令官セレブレッゼ中将を捕虜にする大功績を挙げたために失敗(さらに、白兵戦の腕前でもシェーンコップに追いつかれてしまった)。戦後は反ラインハルト派の上司オフレッサーの邸を訪問するなど策を弄したが、自分がラインハルトに勝るとも劣らぬほど嫌われて孤立しているという現実を直視させられて終わった。会戦後にフリードリヒ4世の嫡子であるという噂が流布し、これも政治工作の一環と思われるが、結局は噂の出所も真偽も判明しなかった。一方のラインハルトは感情を露にして毛嫌いしていたが、後に私生活においては恵まれていないことを知ると、自分の境遇とも重なり複雑な感情を抱くようになっていた。
- 第6次イゼルローン攻防戦において薔薇の騎士連隊の挑発に応じる様に命令されて体よく切り捨てられ、シェーンコップとの一騎打ちで敗北、妻に対し「俺は死んでやる、せいぜい幸せになれ」と独白して絶命する。しかしその時妻は、兄殺しの大罪を犯して獄中にいた。