ケンプ救援のためイゼルローンに向かったミッターマイヤーとロイエンタールは、敗走する友軍を追跡してきた同盟軍を殲滅して帰還する。敗戦をしったラインハルトは、ミュラーを処断しようとするが、キルヒアイスを想起して思いとどまった。オーベルシュタインはヒルダの献策があったのではないかと問い質す。ヒルダは、支配者としての冷徹さのみを求める彼の態度に危機感を抱き、ラインハルトの心性を守らねばならないと決意する。
http://www.youtube.com/watch?v=PLAndqdDe8M&list=PL66722715CC601547
ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ
声・・・納谷悟朗(ルパン三世の銭形警部、風の谷のナウシカのユパなど)
寡黙で実直な人柄。「ヤン艦隊唯一の紳士」と称される。貴族出身のため、以前は他の貴族同様選民思想の持ち主だったが、若い下級兵士達との交流を通じて自分の間違いに気がついた…とシュナイダーに告白している。アスターテ会戦の時も、当初はラインハルトの能力に懐疑的だったものの、第4艦隊を全滅させた頃からその才覚に気づいており、帝国貴族中で最も早くからラインハルトを認めていた。しかしゴールデンバウム朝の宿将として、帝政を壟断するラインハルトに与するのを良しとしなかった。当初ラインハルトと敵対しようとは考えておらず、リップシュタット戦役では中立の立場を取ろうしていたが、ブラウンシュヴァイク公より家族(娘)暗殺を示唆され、貴族連合軍の総司令官を受けざるを得なかった。
重厚で生真面目な性格のためゴールデンバウム朝時代には軍首脳から「有能だが部下として使いづらい」と評され(劇場版第2作)、宮廷での社交活動にも興味を示さず、孤高を保ち、面白味の無い人物と思われていた。それ故にその能力に比べて昇進も遅く、例えば第6次イゼルローン攻防戦で実績をあげたが、ラインハルトが昇進する一方でメルカッツは昇進できず、その後ラインハルトに階級を抜かれている。しかし同時に陥れられる事もなく地位を保ち、軍人のみならず貴族間での人望も高かった。物語の最初であるアスターテ会戦でラインハルトの配下に配属されたのをはじめ、門閥貴族連合、自由惑星同盟、銀河帝国正統政府…など、常に運命によって翻弄され自分の意思とは無関係に立場を規定されてきた。
同盟軍においては、各自が好きなように振舞う雰囲気の強いヤン艦隊にあって実に規則正しい生活を送り、「兵士達は彼の姿を見て時計の針を合わせる」などと言われていた。また、亡命後も旧帝国の軍服を着用し続けるなど、ある種の矜持を示すと共に「亡命者」である自らの立場を正しくわきまえていた。ヤン艦隊と接するようになって以来それまでは関心を示さなかったユーモアにも反応を示すようになったことが、副官シュナイダーの観察として描かれている。 また、政争の具にされたエルウィン・ヨーゼフ2世の消息を気にかけ、回廊の戦いでかつて僚友として共に戦ったファーレンハイトが戦死した際、喪に服し、会議に参加しなかったことなどに誠実な人柄が伺える。
ヤン艦隊にあっては、階級上はヤンに次ぐ高さであったにもかかわらず、銀河帝国から自由惑星同盟に亡命してきたという自分の立場を十分にわきまえ、常に一線を引いた態度を保ち、自らの分を超えず、それでいて的確な助言を与えて艦隊首脳陣からの信頼を得ていた。ヤンの死後(イゼルローン共和政府成立後)においては、もはや亡命者という立場でもなくなり、戦略の立案や別働隊を率いるなど積極的な活躍が見られるが、後継者たるユリアンの良き支えに徹して決して自ら前に出ることはなかった。